第1回新奥杯世界囲碁オープン戦決勝五番勝負第5局

12月26日に「第1回新奥杯世界囲碁オープン戦」決勝五番勝負第5局が行われた。
中国の柯潔九段が彭立堯五段に半目勝ちを収め、3勝2敗で世界戦優勝を果たした。
柯潔九段は三星杯(2回優勝)、百霊杯、夢百合杯に続き、5回目の世界戦優勝を記録した。
なお、優勝賞金は220万元(約3800万円)、準優勝は80万元(約1385万円)だ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:新時代の布石】
黒番が柯潔九段、白番が彭立堯五段です。
黒1の肩ツキが大流行の手法で、白2に手抜きで大場に走る実戦例が出始めています。
黒1と白2の交換があるため、白AやBと占めても下辺には白地がつきづらくなっています。
黒3のカカリに受けず、白4と三々入りを優先するのも囲碁AIの影響によるものです。
以前では考えられない打ち方が続々と現れ、碁の転換期を迎えているように感じます。


黒5、7は先手を取りたい時によく打たれる手法。
左上の手抜きを咎めるため、黒11の両カカリに回るのは自然な石運びです。
ただ、両カカリの有力な対応策が生まれたため、最近は両カカリを許す布石が増えています。


白12、14は一般的な対応策。
黒15から17は白の根拠を脅かしつつ地にも辛い手法なので、よく打たれるようになりました。
黒19まで、黒はAの傷を睨みながら上辺に構えて悪くないように見えますが・・・。


白20と黒21を交換してから、白22と左上の黒を攻めるのが厳しい追及。
黒23、25と脱出を試みますが、白26でAとBを見合いにして白サバけている格好です。


黒27と連絡する一手ですが、白28と地を持ちながら収まられた損失は小さくありません。
黒29、31と左辺の白にプレッシャーをかけていきますが・・・。


白32から36と簡明にかわしていきます。
黒37で中央に巨大な模様が現れますが、白38から40と冷静に地を稼いでいきます。
白には弱い石がないので、中央一帯の模様はある程度荒らせると見ているようです。
AlphaGoの手法は相手の勢力圏を消す碁になりやすいのでシノギの技術が求められます。


【参考図1:石の調子】
黒2は力強い応手だが、白3と守る調子を与えるため黒良くないです。
実戦同様にAとBを見合いにされてしまいます。


黒4と頑張っても、白5と頭を叩かれて黒苦しい格好となります。
黒6、8と補強するくらいですが、白9と左上の攻めをみながら地を稼がれて黒失敗です。


【参考図2:白の強手】
黒2と妥協するのは白3と大きく黒を飲み込まれてしまいます。
白1があるため、黒は強く反発することができません。


黒4には白5、7のハネツギが好手。
外周が傷だらけなので黒8と守るのが相場ですが、白9と黒を制して白良しのワカレです。
後に白Aから荒らす具合も見られており、上辺の黒が大きくまとまりづらくなっています。



【実戦譜2:一瞬の隙】
白2を利かそうとした瞬間、黒3と左辺の白を睨みながら受けるのが好手でした。
AとBが見合いで白は分断することができません。


白4と受ける一手だが、黒5から11と左辺の傷を先手で守れた黒の戦果が大きいです。
黒13まで、下辺の攻めを残しつつ左辺を守れたので黒が大きく巻き返しています。
その後、細かい勝負にもつれ込みますが、柯潔九段の勝負強さが光り半目勝ちを収めました。
結果、黒中押し勝ち。


【参考図3:手厚い収束】
黒1に白2から6と整形すれば白優勢は維持できていたようです。
下辺の白さえ治まれば、下辺の薄みが残る局面となるので白十分追い付けます。

「編集後記」
第3局から第5局まで、3局続けて半目勝負が続く番碁は珍しいのではないでしょうか?
最後は百戦錬磨の柯潔九段が制しましたが、彭立堯五段の辛抱強い打ち回しも印象的でした。

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