第1回新奥杯世界囲碁オープン戦決勝五番勝負第4局

12月25日に「第1回新奥杯世界囲碁オープン戦」決勝五番勝負第3局が行われた。
中国の柯潔九段が奇抜な戦術に出るも、彭立堯五段が的確に咎めて優勢を築く。
中盤から終盤にかけて柯潔九段が猛烈な追撃を見せるが半目足らず、無念の敗退となった。
対戦成績がタイに戻った本棋戦の最終局は12月26日に行われる。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:奇抜な戦術】
黒番は柯潔九段、白番は彭立堯五段です。
黒1と白2を交換してから、黒3と二線につける驚愕の手法を採用していきます。
この手法はAlphaGoTeachingToolで示された図の一つで、柯潔九段は早速活用してきました。
善し悪しの判断は不明ですが、大舞台でも新しい世界に挑戦する姿勢は流石ですね。


白4は黒に付け入る隙を与えない堅実な応手。
▲が来ているため、黒5には白6、8と妥協して受けるのが相場です。
ただし、▲が飲み込まれた格好となっており、白良しなワカレに見えます。


白10と下辺の黒に迫った瞬間、黒11とツケるのが黒の狙い。
▲と△の交換により、黒Aを厳しくなっているのがポイントです。


白は素直に受けず、白12と反発していきます。
当然、黒13と突き抜けて下辺と右辺の大胆なワカレとなりました。
若干白良しのワカレですが、黒AやBの味があるため完全に取られている訳ではありません。


【参考図1:穏やかな変化】
実戦進行は味の悪さが目立つので、白2と受ける方が穏やかです。
黒3には白4と切りを入れて、右下の黒を飲み込んでいきます。


黒5には白6と受けるのが無難。
黒7と下辺を補強するところですが、白は逃げずに白8と下辺を補強するのが機敏です。
▲が完全に悪手となっているので、これも白悪くない進行でしょう。



【実戦譜2:驚愕の勝負手】
黒1、3の出切りから下辺の味を突いていきます。
黒Aの切りも見ているので、見た目以上に白の応手も悩ましいです。


白4、6と封鎖して下辺の黒を狙っていきます。
黒11まで、AとBを見合いにして下辺の黒は取られる心配はありませんが・・・。


白12と外回りを厚くする変化を選択。
黒13、15で右下隅の白三子を取れますが、黒15ではAと生きを図る方が良かったようです。


白16が手厚い好手でした。
黒17と消しに回られますが、白20で▲を取れるので下辺の姿が見た目以上に厚くなります。
右下隅の白四子を取るなら黒A、白B、黒Cですが、白優勢は覆らないので・・・。


黒21のアテは部分的に大悪手。
黒は自ら右下の攻め合いに勝つ手段を消してしまったからです。
ただ、黒Aに白Bとなるので、下辺のダメヅマリを横目に黒23と左下のシノギを図ります。
右下の損失は小さくないものの、左下の白陣を大きく削れれば取り戻せると見ています。
ここから柯潔九段は大きく巻き返しますが、最後は半目届かず無念の敗退となりました。
結果、白半目勝ち。


【参考図2:大きな違い】
白1に黒2のコスミが渋い好手でした。
白3で左下はほぼ白地になりますが、黒4と味良く取れば右辺の黒陣も深くなります。
また、黒A、白B、黒Cと利かす具合もあり、右辺は深い模様となっているのが黒の自慢。


【参考図3:地に辛い進行】
前図の進行で白2、4と右下隅で生きを図る変化も考えられます。
ただ、黒5とトビ込まれると下辺の白陣が消えるので、黒悪くなさそうです。
右下隅も黒Aからコウに持ち込む手段があり、意外と地に辛い進行です。(死活はこちら参照)


【参考図4:攻め合いは勝てるが・・・】
白1に黒2、4なら右下隅の攻め合いは黒一手勝ちです。
ただし、▲の二子が取られているので、白5と攻められると左下の黒が飲み込まれそうです。
黒はシノギの手がかりがないため、相当苦しい展開と言えるでしょう。

「編集後記」
柯潔九段は序盤から大きく出遅れるも、結果的には勝負形まで追い上げています。
こうした棋譜を見ると、強い人は中盤以降の力でいくらでも打開できるように思えてきます。

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