第19回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦第6戦

11月25日に韓国・釜山で「第19回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦」の第6戦が行われた。
日本の山下敬吾九段が優勢になるも、韓国の申旻埈六段の追撃を許し無念の敗退となった。
明日の第7戦は中国の4番手である党毅飛九段が出場する予定だ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:大流行の三々手法】
黒番は山下敬吾九段、白番は申旻埈六段です。
黒1のカカリに白2、4と根拠を奪うのは当然の態度。
下辺は白の勢力圏なので、黒5と高く構えて白に封鎖されないように打つのが肝心。
白6の三々入りが流行っているが、現局面での善悪はなんとも言えないところです。


黒7から13と上辺に対して厚くできれば、見た目は黒悪くないように見えます。
しかし、白Aなど上辺を割られた際、左上の黒が攻められる展開を想定されるため、
必ずしも「厚みが厚みとして働くとは限らない」と見るのが現代碁の発想です。


黒15、17と左上の厚みを整備してから、黒19と上辺に構えるのが堅実な石運び。
上辺に黒石が隔たっている感じは否めないが、厚みが働けば十分追いつける形勢です。
大切なのは三々定石から生じた厚みが、攻めの対象とならないように備えることです。


【参考図1:逆襲のワリ打ち】
黒1と右辺を占めるのも好点です。
しかし、白2と上辺を割られると左上の黒を攻める狙いが生じるため、黒悩ましいです。
黒3と迫るのは白4から8と自身を補強しながら黒に寄りついて白好調です。



【実戦譜2:力勝負の中盤戦】
白1に黒Aのツギは利かされなので、黒2など反発したいところ。
左上の黒陣に白BやCの味が残るが、白1を飲み込める可能性もあり互いに難しい局面だ。
白3には黒4と広く構えるのが面白く、白Dと右上隅でサバキづらくしています。


白5と右辺でサバキを求めるところ。
しかし、黒6から10と封鎖して上辺の模様を広げるのが好判断でした。
このまま中央が黒地になっては、△と▲の交換が白にとって悪手になるので・・・。


白11と黒12を交換した後、白13と右上隅の突破を試みます。
次に白Aを見られているため、黒14など右辺を守る必要があります。
白15を許しても、黒16で右辺の白三子と右下の白を睨めるので黒ペースとなりました。


白17の瞬間、黒18と白19を交換するのが好手でした。
白21、23でAとBを見合いにされて黒の攻めが空振りしているように見えますが・・・。


黒24、26と連絡を断つのが正しい応手。
白27で右上の黒は取られますが、黒38と右下を制圧できれば黒打ちやすい碁形です。
前譜の黒18の利かしは、本譜の締め付けを見越した神経の行き届いた手でした。
山下九段の好局に見えたが、少しずつ乱れて逆転を許してしまいました。
結果、白中押し勝ち。


【参考図2:黒模様が深い】
黒1に白2と右上隅に入るのは軽率。
黒3と外回りを厚くされて黒の配石が活きる展開に持ち込まれます。


黒9から15と封鎖して黒十分な展開です。
△が動きづらい格好となっているため、▲との交換が白悪手となっています。

「編集後記」
山下九段が中盤で優勢を築いていただけに残念な一局でした。
本棋戦は持時間が少ないので、こうした逆転が起こるのも珍しくありません。

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