AlphaGoZeroの自己対戦解析(8)

ここ数年、囲碁AIの手法が実戦でよく現れるようになってきました。
未知な要素が多い反面、正しく打ち続けられれば勝率が高くなる可能性があるからです。
ただし、一手でも間違えるとすぐに悪くなる特徴もあり、扱いづらい戦術と言えるでしょう。
高い技術を有することが前提なので、鑑賞程度に留めておくのが良いかもしれません。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:手堅い石運び】
黒番がAlphaGoZero、白番がAlphaGoMasterです。
上辺の価値は低いため、白1に黒2とハサむのは当然の態度。
黒4に白5、7と強く反発するなど、互いに上辺を打たないよう工夫しています。
この進行は第4局と似た進行で、ある程度強くなると布石の打ち方が限定されるようです。


黒8、10と白を取りにいくところ。
白11から17と右上隅を食い込まれるが、黒Aから左上の白に寄り付く狙いがあり黒十分です。


黒18、20と整形するのが囲碁AIの打ち方。
黒は弱い石をなくすことで、左辺の白模様を消す分かりやすい展開を築きました。
また、黒Aから下辺の黒陣を広げる狙いもあり、黒の楽しみが多い局面となっています。


白25に黒26、28と外周を厚くするのが手堅い石運び。
白33、35と左辺に先着されても、左辺の白模様を消せば黒の実利に活きる展開になります。
周囲の黒は堅い形なので、左辺に打ち込んでも寄り付かれる心配がないのも黒の強みです。


【参考図1:定石の周辺】
黒1に白2、4と隅に入るのも考えられます。
上辺は価値の低い場なので、黒Aの切りは打ちづらい局面です。


黒5、7と反発していきたいところ。
白8と切られても、黒9のサガリがAとBを見合いにする好手です。


白12と外回りの傷を突かれますが、黒13から15で耐えています。
続いて、白Aから右上隅の白二子が生還されますが・・・。


白16から20と黒二子を取られても、黒21から23と右辺を厚くして黒十分。
上辺の白陣はAやBから消す余地があるので、若干黒良しのワカレです。


【参考図2:厚みへの寄り付き】
黒1と左辺を割るのが好点です。
白2と迫るのは黒3、5と左上の白が攻められるため、白苦しい戦いを強いられます。


【参考図3:右辺の力関係】
白1に黒2と地に辛くいきたいですが、白3で黒の応手が悩ましいです。
通常は黒4、6で黒の実利が大きく、白悪い変化となりますが・・・。


白7から11とサバくのが常套手段。
黒12と地を稼がれるも、白13から15と▲を分断しながら右下の白を整形して白好調です。



【実戦譜2:空中戦の攻防】
白1は下辺の黒模様削減と左辺の白陣拡大を見た好点。
黒2と左辺に進出するのを誘い、白3と左辺に構える調子を求めた意味もあります。
黒4に白5と守ったのが面白い反発で、黒Aと左辺に進出すると白B以下で黒苦しい戦いです。
双方、水面下で互いの意図を握り潰し合う高度な戦いを繰り広げています。


黒Aと左辺の白陣を割られないよう、白7と大きく攻めて行きたいところ。
しかし、黒8から10で弾力ある形となり、白の攻めが続きません。


白11、13と左辺の黒を重くして攻めていきます。
黒14に白16と逃げ出すのは容易にシノギ形を与えるため、白15と打たざるを得ないところ。
しかし、黒18で左辺の黒が取られることはなく、白苦しい展開となっています。


白19に黒20から28と収まって黒十分な戦果。
外周の白はAやBなどの傷が残っている上、黒Cと動き出す狙いもあり黒有望な局面です。
各所で厚く打ち進めた黒の貯金が活きる局面で、黒の思惑道理の展開となっています。
結果、黒中押し勝ち。


【参考図4:サバキの筋】
黒1に白2と逃げ出すのは軽率。
黒3がサバキの手筋で白の攻めが切れてしまいます。


白4と地を取るなら、黒5から9と整形していきます。
左辺の黒が十分な格好になったので、黒11と左辺の白陣を割って黒好調です。


白12と裂かれても、AやBの利きを横目に黒13から15とサバいて黒成功です。
左辺の白を封鎖すれば黒Cと動き出す狙いもあり、白は味の悪い格好を強いられます。


蛇足ですが、白16と強引に分断するのは黒17、19で耐えています。
続いて、白Aは黒B以下符号順で左辺の黒がサバけるので問題ありません。

「編集後記」
AlphaGoZeroの自己対戦譜を調べるのは一苦労しますね。
対Master戦20局は全て記事にする予定ですが、時間のある土日祝日中心になりそうです。

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