第3回夢百合杯世界オープン戦準決勝三番勝負第一局

11月17日に「第3回夢百合杯世界オープン戦」の準決勝三番勝負第一局が行われた。
中国の謝科三段と韓国の朴永訓九段が勝利し、決勝進出まで後一勝に迫った。
以下に対戦成績をまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【11/17(金):第1局】
謝科三段(中)ー朴廷桓九段(韓)
朴永訓九段(韓)ー李軒豪六段(中)

中国の謝科三段は17歳、李軒豪六段は22歳で世界戦準決勝まで勝ち進んでいる。
ここ数年、中国が世界戦を独占している背景には若手層の厚さが起因しているかもしれない。
中韓対決となった準決勝、韓国としては一矢報いたいところだ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜:AlphaGoの感覚】
黒番が朴廷桓九段、白番が謝科三段です。
白2は黒3と様子見されて白良くないと言われている配石です。
白4、6には黒Aを横目に黒7と左上隅に構えて、左辺に黒模様を築く展開を目指します。
しかし、白8と小目に構えて黒B方向からカカリづらくしたのが面白い発想でした。
広い局面に見えますが、黒は次の一手が悩ましい序盤戦になっています。


黒9は白模様を張らせない碁形を築く意図。
ただし、△が控えているため、黒も下辺に大きな地が見込めない土地になっています。
双方にとって、下辺の価値は低いことから黒11など大場に走るのは妥当な判断。
白から右下の黒を攻めると価値の低い下辺に打つ流れとなり、間接的に攻めづらいからです。
白12はAlphaGo的な着想で、中央の勢力圏拡大を見ながら右辺に白模様を築く構想。


黒13と白14を交換してから、黒15と右下を補強するのが相場。
しかし、白16の三々入りが全局的なバランスを見た構想で、黒の応手が悩ましい。
Aは白に左辺を割られる価値が上がり、Bは右辺の肩ツキがあり上辺に黒模様は望めません。


黒は模様を築く展開を選択できないため、黒17から21と実利を優先した定石を選びます。
ただ、白28が左下の黒を睨みながら左上の厚みをぼかす好点となり、若干白打ちやすい碁形。
この局面になると、白は上辺や右辺に大きな模様を築く可能性が広がっていますが、
黒は大きくなりそうな土地がなく、先の見通しが立ちづらくなっています。
結果、白中押し勝ち。


【参考図1:配石の違い】
白1と星に構えるのは黒2、4と右辺に回られて、僅かに白不満な石運び。
△が来ているので、白から下辺方面に打つ展開は避けたいところです。


【参考図2:模様拡大が加速】
黒1、3と左辺に占めたいところですが、白4のシマリに回られます。
実戦のように黒5と右下の白陣拡大を制限するなら、白6と左上隅に入られそうです。


黒7から17で左辺の黒陣が堅くしても、白18から20と右下一帯を広げて白優勢でしょう。
中央の主導権を白に握られているため、左辺の黒陣が広げづらくなっています。


【参考図3:流れるような石運び】
白1に黒2から10と厚みを築いても、白11と上辺を割られて黒失敗です。
続いて、Aを狙われていますし、Bから左上の黒が攻められる展開も将来的に考えられます。
△の肩ツキにより、いつの間にか黒の良くなる図が水面下で潰されていたのです。

「編集後記」
AlphaGoの手法を的確に応用するのは見た目以上に難しいです。
後の展開を一手でも間違えると、途端に悪くなることが多いため中々うまくいきません。
今回紹介したような実戦が今後たくさん現れるので、広く使える手法になるかもしれません。

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