第22回LG杯朝鮮日報棋王戦準々決勝

11月13日に日本棋院東京本院で「第22回LG杯朝鮮日報棋王戦」の準々決勝が行われた。
日本の井山裕太九段が中国の楊鼎新六段に勝利し、久々の準決勝進出を決めた。
世界戦ベスト4入りは、2005年LG杯で張栩九段が優勝して以来の好成績だ。
以下に対戦結果をまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【11/13(月):準々決勝】
井山裕太九段(日)ー楊鼎新六段(中)
江維傑九段(中)ー李元榮七段(韓)
謝爾豪五段(中)ー崔哲瀚九段(韓)
柯潔九段(中)ー申眞諝八段(韓)

【11/15(水):準決勝】
井山裕太九段(日)ー柯潔九段(中)
江維傑九段(中)ー謝爾豪五段(中)

ここ数年、日本は世界戦で出遅れてただけに今回の好成績は大いにファンを沸かせた。
11月15日に行われる準決勝では、井山九段は中国の第一人者である柯潔九段と対決する。
AlphaGoMaster戦を経て更なる進化を遂げた柯潔九段だが、打ち破ってほしいところだ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:熾烈な展開】
黒番が楊鼎新六段、白番が井山裕太九段です。
白1の三々入りはAlphaGo手法の一つで大流行しています。
黒2から6と手番を得てから黒8と左上の白にプレッシャーをかけていきます。
次に黒Aが厳しいですが、守っていては黒ペースとなるため白悩ましい局面です。


白9と右上の薄みを突くのが面白い着想でした。
白15まで、右辺の黒が弱い状況なので黒Aと左上の白を追及する暇がありません。
また、▲を飲み込む狙いもあり、左上を守る手間が省ける可能性が出てきました。


黒16、18を利かした後、黒20と中央に顔を出して競り合いが始まります。
白21に黒22を決めて白を重くした後、黒24と上辺の白にモタれるのが厳しい。
中央の白は捨てづらい格好なため、白は上辺と中央を助け出す必要があります。


白25から29と押さえ込むのは当然の態度。
黒30で戦いの主導権を握られたように見えるが、上辺の黒を飲み込まれた戦果は小さくない。
黒は攻め損なうと白の実利が活きる展開となるため、容易でない局面となりました。


【参考図1:黒厚い碁形】
黒1に白2、4と守るのは足が遅い。
黒5から9と右上を先手で整形した後、黒11と上辺を広げて黒十分な展開です。



【実戦譜2:切れ味鋭い石運び】
黒1、3と中央の白を大きく攻めて黒好調に見えます。
しかし、白4の切りが気づきづらい手筋で、この手を境に井山九段の反撃が始まります。


部分的には黒5から9と上辺の白を取られて白が損しています。
上辺の黒に手がある訳でないため、白は何をしたいのか分かりづらく見えますが・・・。


白10と中央の薄みを突くのが一連の流れの狙いでした。
黒11とツガれても白12、14で上辺の手数が伸びるので、白16と中央に回ることができます。
中央の力関係で均衡を保てれば、各所で稼いだ白地が活きる展開となります。


黒17に中央を守らず、白18と左上の黒三子を制したのは驚愕です。
黒19から23の猛攻が厳しく、中央一帯の白が取られてしまう可能性があるからです。
白Aの狙いがあり、全ての白を取ることは難しいですが、中々選べない打ち方でしょう。


白24、26がシノギの手筋。
実戦は黒27と強引に中央の白を攻めにいきましたが、白32が手筋で白を捕えきれません。
黒はAやBの傷を抱える展開となり、形勢は白に傾きつつあります。


黒は中央の傷を補強していては遅れるため、黒33と相手の出方を伺います。
しかし、白34から36と中央を補強するのが好判断で黒の狙いを次々に握り潰されていきます。
黒37と黒三子を引っ張り出すのは大きいが、白38の切りが強烈で黒ツライ展開になりました。


黒39から45と左辺の白を攻めるも、Aなどの狙いがあり見た目以上に弾力ある格好です。
白48の様子見が絶妙なタイミングで、黒の受け方が非常に悩ましいところ。
例えば、黒Bと受けるのは白Cと反撃されて攻守が逆転してしまいます。


黒49には白50、52と下辺を強化した後、白54で黒二子を取れます。
全ての白が手厚い形となり、各所で稼いだ実利が活きる展開で白優勢となりました。
黒の攻めを真正面から受け止める井山九段の力強さが現れた好局と言えるでしょう。
結果、白中押し勝ち。


【参考図2:息の長い碁】
白1には黒2から6と封鎖すれば息の長そうな碁でした。
中央の白が弱い戦況なので、攻防次第では黒は厚い形を築けるかもしれません。
しかし、左上の白陣が相当厚い格好で、左下の黒陣が大きくまとまりづらいです。

「編集後記」
井山九段が準々決勝を快勝し、世界戦優勝へ一歩近づきました。
世界戦に出れる機会が少ないので、このチャンスをものにしてほしいですね!

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