第22回三星火災杯世界囲碁マスターズ、準決勝三番勝負

11月6日から8日に「第22回三星火災杯世界囲碁マスターズ」の準決勝三番勝負が行われた。
それぞれ第3局までもつれ込み、中国の唐韋星九段と辜梓豪五段が決勝戦に駒を進めた。
なお、決勝三番勝負は12月5日から7日の三日間にかけて行われる予定だ。
以下に対戦成績をまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【11/07(月):第1局】
安国鉉八段(韓)ー唐韋星九段(中)
辜梓豪五段(中)-童夢成六段(中)

【11/08(火):第2局】
唐韋星九段(中)ー安国鉉八段(韓)
童夢成六段(中)ー辜梓豪五段(中)

【11/09(水):第3局】
唐韋星九段(中)ー安国鉉八段(韓)
辜梓豪五段(中)-童夢成六段(中)

各対局で囲碁AIの手法が随所に現れており、世界トップ棋士は有力と見ているようだ。
現在は囲碁AIのDeepZenGo、FineArt、CGIを中心にネット碁で対局できる環境があり、
これから碁の打ち方や発想が進化し続けていくかもしれない。
さて、対局を振り返っていきます。


【第1戦 唐韋星九段(黒)vs安国鉉八段:手厚い構想】
黒1の三々入りに白2、4と手厚く受けるのはAlphaGoZeroの手法。
地に甘いように見えますが、左上の白に傷がないため見た目以上に厚い格好です。
囲碁AIの影響により、三々の定石が大きく見直されて様々な変化が発見されています。


黒7は左辺の白陣拡大を抑制しながら下辺の黒陣を広げる好点。
ただし、白8と右辺を割られると下辺の構えに隙が多いため、若干白打ちやすく見えます。
黒9、11と右辺の白に強く追及し、右下の薄みを補強するように打ち進めますが・・・。


黒13に白14、16とかわすのが柔軟でした。
黒17と右辺を割られますが、白18から20でサバけるので白十分です。


黒21から27と生きを図るが、白28と外周を厚くして中央の主導権を握られてしまいます。
黒29と中央へ進出しても、白30から32と右下の黒陣を削られるため白優勢は揺るぎません。
白に厚い碁形を築かれると、コミの負担がある黒はツライ展開を強いられるようです。
結果、白中押し勝ち。



【第1戦 辜梓豪五段(黒)vs童夢成六段:複雑な三々定石】
黒1、3の後、Aのカケツギを決めずに黒5と三々入りを選択します。
相手の態度を聞いてから左上の打ち方を変えようとする厳しい着想です。
ただ、白Bの切りを許すと、黒1から3が悪手になる可能性があり難しい打ち方と言えます。


白6、8と受けるのが最近の打ち方です。
黒9に白10、12と強引に封鎖を図り、複雑な局地戦に突入します。


黒13、15と外の傷をつくのが当然の態度。
白16が手筋で左下の白は一筋縄では取られません。
白20に黒Aとツグのは白Bとハネられて、左下の黒が窮すので・・・。


黒21と受けざるを得ないところ。
白22から30と外周を厚くした後、AかBに回られるので厚みが活きる碁形となり白優勢です。
黒Cの動き出しは、△と▲の交換が悪手で左辺の白に寄り付くことは難しく白に響きません。
しかし、この碁は中盤から終盤にかけて辜梓豪五段の猛追が実り、逆転します。
結果、黒中押し勝ち。



【第2戦 安国鉉八段(黒)vs唐韋星九段:サバキの手筋】
白1に黒2、4と強く反発したのが黒の勝負手。
ただし、白5のツケがサバキの手筋で白は容易に捕まりません。


外周の利きを消すため、黒6と封鎖する必要があります。
白7、9と動き出された際、Aの傷が残っているので綺麗に封鎖できないのが黒の泣き所。
劣勢の黒は強引に封鎖せざるを得ないところですが・・・。


白11、13のコウ争いに匹敵するコウ材がなく、黒14と守るしかありません。
白15と右下隅の黒二子を切り離し、白はサバキの目処が立ちました。


黒18から22でAとBを見合いにして黒耐えているように見えますが、
白はコウ争いに強い碁形なので、次の一手が決め手となり白優勢が決定的となります。


白23のハネが決め手。
黒24には白25、27とマクればコウ争いに持ち込めます。
黒は手厚く打ち進めていたにも関わらず、右下に匹敵するコウ材が少ないのが泣き所。
結果、白中押し勝ち。



【第2戦 童夢成六段(黒)vs辜梓豪五段:不発の急戦策】
黒3、5に白6と相手の態度を聞くのが、辜梓豪五段が好む打ち方。
例えば、黒Aと脱出を図るのは白Bと右下を守る調子を与えるので黒イマイチです。
白の意図を崩すため、黒は相手に調子を与えずに脱出する手段が求められます。


黒7のトビが素朴な好手でした。
白Aと下辺に受けるのは黒Bと右辺に占められて白悪い展開になります。
ただ、白8と直接黒の薄みを突かれた後の変化が難しく、簡単ではありません。


黒9、11と分断していくところ。
白16まで、右下隅を分断されて中央か右下の黒が苛められそうですが・・・。


黒17から23と右下隅を治まるのが冷静でした。
黒はAかBの何れかの好点に回れるので、黒悪くない展開となりました。


実戦は白24と下辺を守りますが、黒25から33と圧力をかけて黒好調です。
中央の戦いは黒有利に働くため、白は強く反発できないのがツライところ。
序盤での差が大きく、中盤以降も手堅くまとめ上げて黒勝ちとなりました。
結果、黒中押し勝ち。



【第3戦 安国鉉八段(黒)vs唐韋星九段:ヨセの妙手】
白1に黒2と打ち欠いたのが失着でした。
白3から5がヨセの妙手で右下の黒地を削れたのが大きく、はっきり白優勢となりました。
(細かい変化は参考図を参照ください)


黒6のツギが最善の受けですが、白7から9で連絡できます。
秒読みの中でも、的確に相手の隙を見逃さない鋭さは流石としか言い表せません。
結果、白中押し勝ち。


【参考図1:間隙を生む】
白1に黒2と受ければ、実戦のように右下隅で手になることはありません。
ただし、白3の切りが好手で下辺の味の悪さが現実的になります。


黒4と受ける一手ですが、白5から7が利くため白9のノビが成立します。
黒Aのアテからオイオトシになる形に見えますが・・・。


黒10には白11から15と連絡して白成功です。
黒A、白B、黒Cのコウが残っていますが、黒の負担が重いので現実的ではありません。


【参考図2:鋭い切り返し】
黒2の抵抗は白3とハネ出されて黒困っています。
黒Aは白B、黒C、白Dで白を無条件で取ることができず、黒失敗です。


黒4と遮るのは白5、7で右方の黒二子を取れます。
ダメヅマリにより、白9に黒Aと入れません。


【参考図3:ダメヅマリ】
黒2、4で右下隅だけでは生きを図れませんが、白5から7と黒をダメヅマリに導きます。
黒Aと分断することができないため、白連絡できています。



【第3戦 童夢成六段(黒)vs辜梓豪五段:柔軟な石運び】
黒1の打ち込みに白2から6と大場に走ったのが面白い。
黒7と厳しく追及されますが、構わず白8と左下に広大な模様を築きます。
黒の連打を許しても、右辺の△が飲まれる訳でないため要所を占めた白に軍配が上がります。
打たれて見れば当然の石運びに見えますが、実戦では中々打てないものです。
結果、白中押し勝ち。

「編集後記」
一つの記事に6局載せるのは大変ですね。
今後こうした形で掲載する場合は記事を分割するなど、見やすいレイアウトにしていきます。

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