AlphaGoZeroの自己対戦解析(5)

AlphaGoZeroの自己対戦譜を紙面やネットに載せる際、クレジットを入れる必要があります。
今回はDeepMind社が占有している技術であることを示したいのかもしれません。
なお、「Credit:DeepMind」などと表記すれば無料で使えます。
さて、対局を振り返っていきます。(棋譜提供:DeepMind社)


【実戦譜1:Zero特有の手法】
黒番がAlphaGoMaster、白番はAlphaGoZeroです。
黒1の三々入りに白2から6と素直にノビた後、白8と構えるのがZero特有の打ち方。
地に甘いように見えますが、左下に傷のない厚みを築けたので白悪くない展開です。
黒Aと下辺を広げても、白Bと削れるので下辺に大きな黒地はできません。


黒9は右辺の白模様を消しながら中央の勢力圏を広げる好点。
左上の白との連絡を図らず、白10から12と右辺を囲っていくのが意外でした。
黒Aなどの手があり白小さいように見えますが、黒13と遮るのを待っていたようです。
Zeroは白14と左上の白をサバく調子を求めていたように見えるのです。


黒15から19は手堅い受け方。
白20まで、全局的に黒が厚い碁形で見た目は黒悪くない展開です。
しかし、白は中央さえ消せば各所で稼いだ実利が活きるため、黒容易ではない碁形。
Zeroは意図的に中央を囲わせる碁形に導き、模様を消す流れを作り出したように思えます。


【参考図1:下辺は大きくならない】
白の手抜きを咎めようと、黒1から3と下辺を盛り上げるのは黒失敗。
白2から10と素直に応じられて、右辺の白陣を大きく広げられてしまう。
一方、下辺の黒陣は△と食い込まれているため大きな地が見込めません。


【参考図2:黒の意図する展開】
白1と左辺の黒陣を消すのは、黒2から4と左辺を広げる調子を与えて白良くないです。
右辺の黒三子が白模様を制限する働きをしており、白はダメ場を走らされた格好になります。
囲碁AIは単純に模様を広げるよりも、相手の力を利用して広げることが多いです。



【実戦譜2:黒の勢力圏突破】
白1の切りから中央を荒らしの手がかりを探ります。
黒2、4の二段バネに白5から9と形を決めるのは筋の悪い打ち方ですが、
現局面では左辺の模様を削減しつつ、右上の戦いに備える全局を見た好手でした。
(白7で9とノビるのは、黒に上辺を先着されて実戦より若干白戦いづらくなります。
後から白7などと利かそうとしても、下辺の価値が低いため利いてくれません)


黒10から16で上辺と右辺を補強されて白苦しい戦いに見えます。
黒18、20と切った瞬間、白21とアテたのが面白いタイミングでした。
白五子を大きく取られそうに見えますが・・・。


黒22、24と大きく飲み込みにきた時、白25とかわすのが好手。
白Aを見られているため、黒26と手を戻す必要があるが白27と黒陣を突破して白成功。
黒は中央を厚くしたが、下辺に白の厚みが控えており黒の厚みは働きづらいです。
Zeroは随分前から上辺の戦いを想定して配石していたようです。


【参考図3:シノギの確認】
白1に黒2と連絡を断つのは、白3と中央の白を担ぎ出されて黒良くないです。
黒4と中央を止めても、白5から7でAとBが見合いとなり白シノギ形。



【実戦譜3:巧みなシノギ】
黒1、3はAlphaGoMasterの手法の一つ。
白4に黒5で下辺の黒陣が固まりそうだが、白6から8と外すのが好手でした。
黒Aと左辺を分断されて、左辺の黒陣も膨らみそうに見えますが・・・。


黒9、11と連絡を断つのは当然の態度。
白12、14を利かしてから白16の押しでA~Cが狙いとなり、白はシノギ形を得ます。


黒17と左辺に手を回すなら、白18と封鎖するのが好手。
黒19から23と強引に切断を狙うも、白24でAとBが見合いで黒うまくいきません。


黒25から31は白の眼形を奪いながら連絡を断つ勝負手。
しかし、次の一手により、黒の攻めが空振りする結果となります。


白32のハネ出しがシノギの妙手でした。
黒33、35と左辺を整備しても、白36から38でAとBが見合いとなり白生きです。
外周黒一色に見えた勢力圏の中、あっさり生きてしまうZeroの力強さに舌を巻きます。
結果、白中押し勝ち。


【参考図4:黒のやり過ぎ】
白1に黒2と分断するのは、白3と冷静に手を戻されて黒窮しています。
AとBを見合いにされて黒の攻めが繋がりません。


黒4と下辺の白を取り掛けにいっても、白5で下方に活路があり白を取れません。
黒6、8と生きた後、白9でAとBを見合いにされてしまいます。


黒10と白11を交換すれば、白の狙いをかわすことができます。
しかし、白13に黒Aとツグことができないため白生きです。


【参考図5:黒陣崩壊】
白1に黒2と眼を奪いにいくのは軽率。
白3、5でAとBを見合いにされて黒ツブレてしまいます。

「編集後記」
第5局目は最初から最後までねじり合いが永遠と続く激戦譜です。
囲碁AIは部分戦を苦手としていますが、Zeroはむしろ強みになっています。
Masterも相当力強いものの、Zeroに掛かれば手のひらに転がされているように感じます。

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