AlphaGoZeroの自己対戦解析(4)

AlphaGoZeroの自己対戦第3局(対AlphaGoMaster)でコウ材を損する手を打っていました。
もちろん、コウ争いが苦手という訳ではないですが、時々不可解な現象が起こるようです。
両コウを抜き続けていた実戦譜もあり、コウを完全には理解できてないように感じます
ただし、優劣がはっきりした局面で発生するため、水平線効果の可能性は捨てきれません。
さて、対局を振り返っていきます。(棋譜提供:DeepMind社)


【実戦譜1:手堅い石運び】
黒番がAlphaGoZero、白番がAlphaGoMasterです。
白1に黒2とハサむ位置を変えたのが、第2局と異なるところ。
Masterは黒の配置が変わろうとも、白3と高く両カカリすることが多いです。
黒4に白5、7と強く反発して、AlphaGo定石の進行を辿ります。


黒8から白17まで、Zero対Master戦でよくできる定石ような形。
部分的には黒厚いワカレですが、△が来ているので黒の厚みがぼけています。
しかし、黒Aと右辺を割られると、右下の白も強いとは言えず一長一短です。


黒18と丁寧に左辺を守ったのは、現代的な発想では浮かばない着想。
白Aなど荒らす手段が残っており、将来的に黒18の配石が甘くなる可能性が高いからです。
白19は右辺に地を作ろうとするよりも、右下の白を補強する意味合いが強い手です。
黒20まで、上辺を大きく広げると黒18の配石が模様拡大に活きるため黒悪くない展開。


【参考図1:風景が変わる】
黒1と左上隅を固めつつ、左辺の黒へ援軍を送るのが現代的な打ち方。
しかし、白2から4と左辺を消されると、黒は大きな地を作りづらい碁形になり黒不満。
一方、白は右辺や中央に大きな地を作れる可能性が高く、白若干打ちやすい局面でしょう。
※白Aと切る味があるため、中央は見た目以上に白厚い場となっています。


【参考図2:左上隅の手残り】
白1から7と粘る抵抗があり、無条件で取るのは難しいです。
続いて、黒Aに白Bでコウになります。



【実戦譜2:驚愕の踏み込み】
白1の踏み込みは人間にはない発想の手です。
黒Aなど隅から受けると、白Bなどと上辺を割るくらいでしょうか。
左上隅が堅くなっている状況なので、Cが打ちやすく黒シノギやすくなっていそうです。
相手の応手を見て、先の打ち方を決める高等技術のようです。(詳しくは参考図参照)


黒2から8と封鎖するのが好判断でした。
▲が来ているため、左上を生かしても上辺の模様が広がるので黒十分打てます。


白9の切りが手筋。
黒10に白11から15と粘る筋があり、黒Aに白Bでコウになる格好です。
ただし、仮に左上が取られても外回りの黒は無傷なので、黒はフリカワリを目指して黒十分。


黒16と白17を交換してから黒18と切るのが、神経の行き届いた打ち方。
白はすぐにコウを仕掛けられないため、白19と下辺を割って相手の応手を利きます。
この時、黒20と左上を飲み込みながらコウの味を解消できるのが大きいです。
白Aとコウに弾いてきても、黒B、白C、黒Dで白を取れます。
右上の黒のシノギが最後の勝負所となりました。


【参考図3:手残りの黒陣】
黒1は左辺の白にサバキの調子を与えない厳しい一手。
しかし、白2と上辺の戦いになった際、左上が堅いため白4が打ちやすくなっています。
白6まで、上辺の白は攻めれる石でなく、右上の黒の薄みだけが残った形となります。


黒7など右上の黒を補強するなら、白8から10と左辺の黒陣を荒らして白優勢です。
▲と左上隅を守っても、左辺を荒らす手段が残っているため黒得しません。


【参考図4:石の取り方】
黒1、3と左上の白を取るのは工夫不足。
後に白A、黒B、白Cとサバく手が残るため、下辺の白に余裕が生まれます。



【実戦譜3:盤石な収束】
黒1、3が簡明な整形でした。
AとBが見合いで白の攻めが続かない格好です。
上辺の黒を攻めるのは難しいので、白4と右辺の模様を広げていきますが・・・。


黒5のワリ込みが好手。
白6から14と外回りを厚くしても、△が元々ある場なので白の得たものは少ないです。
黒15と左上一帯を地模様にできたのが大きく、黒優勢がはっきりしました。
結果、黒中押し勝ち。

「編集後記」
今回はMasterの奇襲を的確に受け止める読みの正確さを示した一局だったと思います。
手所での細かな工夫もできており、全く隙のない打ち回しであると言わざるを得ません。

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