第14期中国倡棋杯決勝三番勝負第1局

10月23日に中国・上海で「第14期中国倡棋杯決勝三番勝負第1局」が行われた。
第1局は檀嘯八段の柔軟な打ち回しが功を奏し、中盤で全局的な主導権を奪う。
江維傑九段は必死に追いすがるも、中盤での借金が大きく無念の投了となった。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:力を貯める打ち方】
黒番が江維傑九段、白番が檀嘯八段です。
白1から黒8は最近打たれ始めた布石の一つ。
右辺の白の攻めを見ながら右下の模様を広げられる長所があります。
ただし、白AやBなど薄みを突かれた時の対処が難しく、難易度の高い戦術と言えます。


白9、11と構えるのがバランスの良い打ち方。
黒12に白13のハサミが黒の攻めと左下の白模様拡大を見た一石二鳥の好点になります。
右下の黒陣も立派ですが、左下の白陣のスケールが大きく若干白打ちやすい碁形です。


黒14、16を利かしてから、黒18と左下の白陣を荒らしに向かいます。
しかし、白19と手を戻されると、左下と左上の黒が弱くなり黒ツライ戦いを強いられます。
白は攻めの対象を増やすことで、黒の取れる戦術の幅を狭めています。


【参考図1:無難な進行】
黒1、3と左辺を割るのが穏やかでした。
白2と構えられても、黒A、白B、黒Cとこじ開ける手段があり急ぐ必要はありません。



【実戦譜2:華麗なフリカワリ】
実戦は黒1と左下を助け出すことを選択。
白2を許して左上の黒は苦しい格好になりますが、黒3と下辺に転戦して勝機を見出します。
右下の構えが手堅い場合、白4には黒5と押さえ込んで戦いたいところです。
▲の繋がりが強いので、下辺の白を無傷でシノぐのは容易ではありません。


白は強く応戦できないため、白6から8と受けざるを得ません。
黒9、11と左下の白を包囲できたので、左下を連打した戦果は回収できたと見れるでしょう。


白12から16と生きを図るところ。
黒17、19と左上も助け出せば、黒は左辺一帯の黒をサバけて悪くない展開に見えます。
しかし、白20と黒の一等地を根こそぎ荒らしにいくのが厳しく、黒の応手が悩ましい。


黒21から27と強引に取りにいったのに物凄い迫力を感じます。
周囲の白は十分強い格好なので、部分的に取りに行かざるを得ない碁形なのです。


白32と黒33を交換してから白34のトビが好手順。
黒35、37と守る必要があるため、白38から40とコウに持ち込めます。


黒41の抜きに白42と逃げ出すのが白の読み筋。
当然、黒43と抜き去りますが、白44から46が手筋で何れかの黒が取られる格好です。


黒47、49が最善の抵抗。
しかし、白50から52を決めてから白54の切りが決め手で黒窮しています。
単に黒Aと抱えるのは白Bで右下の黒を取られてしまうので・・・。


黒55、57と受けなければならないのが黒の泣き所。
白58から60と先手で黒二子を制した後、白62と右下の好点に先着して白優勢です。
一連の流れは白32の切りから始まる30手読みですが、棋士なら一目で見えます。
高いレベルになればなるほど、戦いが始まる一手目で優劣がついてしまうものです。
結果、白中押し勝ち。


【参考図2:頑張り過ぎ】
黒1と動き出すのは白2と手を戻されて黒窮します。
右下の攻め合いは黒勝てないので、外周の傷をついていくしかないですが・・・。


黒3の切りには白4、6で右辺の白も支え切れています。
続いて、黒Aで白三子はシチョウで取れますが、白Bなどと右下隅を制されて白成功です。

「編集後記」
本局を見ると、手が見えているか否かの差は大きいと改めて感じます。
形勢判断の精度を上げるためにも、詰碁などで読みの力を鍛えなければならないですね。

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