AlphaGoZeroの自己対戦解析(2)

今回紹介するAlphaGoZeroの自己対戦(対Master)は、囲碁AIの定石が出現します。
ただし、囲碁AIは特定の定石や形を一時的に打つ事があり、最善か否かの判断が難しいです。
例えば、AlphaGoLeeでは小目のツケ引き定石でカケツギをよく採用していましたが、
AlphaGoMasterにバージョンアップしてからは堅ツギのみを用いています。
囲碁AIの手は強くなるにつれて変化するので、鵜呑みにするのは危険です。
さて、対局を振り返っていきます。(棋譜提供:DeepMind社)


【実戦譜1:絶妙なバランス感覚】
黒番がAlphaGoZero、白番はAlphaGoMasterです。
AlphaGoは強くなるにつれて、序盤早々に黒7と三々に入る傾向が見られます。
黒17と構えたのがバランスの良い打ち方で、白は右辺で戦いを起こしづらくなっています。


【参考図1:勢力圏が消える】
白1、3と右辺の黒を追及するのは軽率。
黒4と中央に逃げ出されると、上辺の勢力圏が消えて左上の厚みがぼけてしまいます。
石の強弱ではなく、全局的なバランスで白の選択肢を握りつぶしています。



【実戦譜2:囲碁AIの定石】
白1に黒2とハサむのは当然の態度。
左辺は双方にとって価値の低い場なので、白Aと打たせたいからです。
白3の反発にも黒4と右方からツメて、三々入りを催促するように追及します。
白5は左下の黒に圧力をかけつつ、下辺を飲み込む狙いがある強手で黒容易ではない局面。
水面下で互いの意図を崩し合う攻防を見ると、物凄い強さであることがわかります。


黒6に白7、9と反発したのが面白い。
左辺の価値が低いため、黒Aから地に辛くいくのは黒良くないので・・・。


黒10、12と左辺の白を取り込みにいくところ。
部分的には白13から17と隅に食い込んでも、左辺の損があるため黒悪くないワカレです。
ただ、Aの利きを横目に▲を飲み込む狙いがあり、優劣の判断が難しい。


白23から27を利かした後、白29と下辺の黒を飲み込むまでがよく打たれる形の一つ。
下辺の白地は大きいが、黒28とノビているので左上の白が見た目以上に弱体化しています。
黒は左上の白に寄り付きながら、上辺の白陣を如何に割るかが勝負所です。


【参考図2:黒の意図】
黒1に白2と三々に入るのは黒の術中にハマります。
黒3から11と右下一帯の模様を広げつつ、左辺の模様を制限して黒悪くない展開です。
黒Aが残っており、左辺には大きな白地が見込めないのが白の泣き所。


【参考図3:広大な中央の勢力圏】
黒1から5と先手で左下隅を補強した後、黒7と下辺に回るのも一策。
しかし、白8から10と露骨に中央を広げても、白十分追いつける形勢に見えます。


黒11には白12から16と自然に中央を広げます。
黒陣はAやBの手が残っているため、上辺一帯の一部さえ白地になれば白良いでしょう。



【実戦譜3:絶妙な距離感】
黒1と左上の白に迫りつつ、上辺を割るのが面白い間合いの取り方でした。
次に黒A、白B、黒Cと攻められるのはツライので、白2と守るのが相場です。
手番を得た黒は3から9と上辺を大きく割ることに成功し、若干黒が打ちやすい碁形。
結果、黒中押し勝ち。


【参考図4:白薄い碁形】
黒1に白2と追及したいところですが、黒3から5と攻められて白苦しい格好。
黒に弱い石がなくなれば、黒Aなどの狙いが生じるので白ジリ貧な進行になります。

「編集後記」
明日は、中国の第14期倡棋杯決勝第1局の記事を上げる予定です。
論文が公開されて以来、AlphaGoの碁ばかり見ていたので少しほっとできるかもしれません。

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コメント

  1. ニコニコから より:

    ニコニコと囲碁から遠ざかってましたがたまにブログ拝見してます。わかりやすい解説で読んでいて楽しいです。応援してます!

    • okao より:

      応援ありがとうございます!現在はニコニコ生放送からYoutubeに放送拠点を移動しました。場所はProfileにあるので参照ください。これからもよろしくお願いします。