2017利民杯世界囲碁星鋭最強戦ー準々決勝

10月16日に「2017利民杯世界囲碁星鋭最強戦」の準々決勝が行われた。
韓国の申旻埈六段と卞相壹六段が敗れ、勝ち進んだのは中国棋士のみ。
20歳以下の若手棋戦でも、中国の覇権は揺るがないことを証明する形となった。
以下に対戦成績をまとめたので参照ください。(左側が勝者)
※10/18(09:16):図を一部追加しました。

【10/16(月):準々決勝】
柯潔九段(中)ー申旻埈六段(韓)
謝爾豪五段(中)ー丁世雄四段(中)
丁浩五段(中)ー卞相壹六段(韓)
許嘉陽六段(中)ー謝科四段(中)

【10/17(火):準決勝組み合わせ】
柯潔九段(中)ー謝爾豪五段(中)
丁浩五段(中)ー許嘉陽六段(中)

本棋戦で優勝した棋士は世界戦で活躍することが多いようだ。
(2014年:童夢成六段、2015年:辜梓豪五段、2016年:羋昱廷九段)
今回の大会を制し、名を上げる棋士は誰になるか、注目していきたいところ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦図1:囲碁AIの手法】
黒番は柯潔九段、白番は申旻埈六段です。
黒1のツケはアルファ碁が示した手法の一つ。
白2、4と左上を固めてしまうが、左辺の価値を下げた意味もあり優劣の判断は難しい。
黒5の三々に入られた時、右下の構えを牽制するなら白Aと下辺の可能性を削りたい。
しかし、左辺の価値は低くされているため、白Bと打たざるを得ないようです。


価値の低い左辺に打たせるため、白6と押さえていきます。
白としては▲の二子が悪手となる碁形を築くことが一つの狙いです。
黒11に白Aが流行形ですが、後手を引いて下辺に先着されるのは避けたいところ。


白12から16は傷のない厚みを築きながら、白18と下辺に先着する工夫です。
ただし、黒19にツメられると、次に黒Aなどから下辺一帯を攻める狙いが生じます。
かと言って、白は露骨に下辺を守るのは良くないので受け方が悩ましいです。


白20、22と左辺の黒に働きかけつつ、黒Aの打ち込みに備えます。
左上の白は強い格好なので、黒23に白24と走られて黒甘いように見えるかもしれません。
柯潔九段は足早な展開よりも、黒25から27と上辺の発展性を削ることを優先します。
確かに、白は大きな地になりそうな場はないが、黒は右下や左辺が広がる可能性があり、
いつの間にか、黒だけが地が増えやすい碁形になっているようです。


【参考図1:厚みが攻めの対象に】
白2、4には黒5とツケるのが現局面では良いようです。
次に黒Aのハネ出しが厳しいため、白は受ける必要がありますが・・・。


白6の受けには黒7、9を利かした後、黒11と左辺を回られて白良くないです。
後続手段として、黒Aから左下の白に寄り付く狙いもあり、黒の楽しみが多い局面。


【参考図2:足早な展開】
黒1に白2と強引に封鎖する変化も考えられます。
外回りの白に傷をつけるため、黒3から7と出切るのは当然の応酬。


白8には黒9と手を戻して左下隅の生きを確かめます。
黒は白の傷を咎めるよりも、黒11と外から利かして確実な得を積み重ねるのが簡明。
黒13まで、黒Aなどを見ながら左辺を割れたのが大きく、黒若干打ちやすそうです。
左下隅の黒はBとCが見合いで、現局面では取られる石ではありません。


【実戦図2:卓越した大局観】
白1の両カカリからの攻防が本局のハイライト。
黒2、4に白5と地を稼ぎながら、右上一帯の黒を狙っていきます。
白9は黒からの利かしを消して、Aの傷の守り方を難しくする意図があります。
この難局を黒がどう乗り切るかが、本局の見所の一つです。


黒は自身の傷を守らず、黒10と右辺から利かしに行ったのが面白い。
白11、13と右辺を補強してから白15、17と切られて黒大変に見えますが・・・。


黒18から24と右上隅を生きた後、白25に黒26とハネたのが好判断でした。
白27で黒三子を取られますが、A~Cの利きがあるため見た目以上に黒厚い格好です。


黒30のサガリは左下隅の利きを消すと同時に、下辺の白陣を薄くする要所。
白31は黒からの利きを消す必要な一着だが、黒34の好点に先着できれば黒優勢です。
白は右上で種石である黒三子を取れたものの、大局的には遅れる戦況となっています。
種石すらも捨石に全局的なリードを奪う柯潔九段の打ち回しに脱帽です。


【参考図3:種石は逃げ出せない】
蛇足ですが、黒2と種石を助け出そうとする変化を解説していきます。
△に白石が来ているので、白3と切り返されて黒四子は取られてしまいます。


黒4と抜いても、白5から7で脱出できません。
普通は筋に入っているように見えるため、実戦のような捨て石は中々思い浮かびません。

「編集後記」
準々決勝の柯潔九段の対局は本当に素晴らしい打ち回しで非常に参考になります。
本記事で紹介できなかった見所がたくさんあるので、全手を鑑賞してほしいです。

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