第13期中国棋王戦ー32強・16強戦

10月10、11日に第13期中国棋王戦の32強、16強戦が行われた。
前期優勝の黃云嵩六段を始め、世界戦優勝経験者が次々に敗れる熾烈な戦いとなった。
また、4コウが発生して無勝負打ち直しという珍しい事態が起きた。(下の図を参照)
以下に対戦成績をまとめたので参照ください。(左側が勝者)
※最終更新日:10/14(00:23)、図を一部追加しました。

【10/10(火):32強戦】
芈昱廷九段ー謝赫九段
童夢成六段ー趙晨宇五段
彭立嶢五段ー常昊九段
許嘉陽六段ー時越九段
范廷鈺九段ー柁嘉熹九段
孟泰齡六段ー范蘊若六段
李欽誠九段ー江維傑九段
張濤五段ー陳耀燁九段
陶欣然六段ー周睿羊九段
李軒豪六段ー廖行文六段
古霊益五段ー謝爾豪五段
連笑八段ー古力九段
檀嘯九段ー魯佳二段
辜梓豪五段ー楊鼎新五段
范胤六段ー周賀璽六段
唐韋星九段ー黃云嵩六段

【10/11(水):16強戦】
芈昱廷九段ー童夢成六段
許嘉陽六段ー彭立嶢五段
孟泰齡六段ー范廷鈺九段
張濤五段ー李欽誠九段
陶欣然六段ー李軒豪六段
古霊益五段ー連笑八段
辜梓豪五段ー檀嘯九段
范胤六段ー唐韋星九段

【12/26(火):8強戦組み合わせ】
芈昱廷九段ー許嘉陽六段
孟泰齡六段ー張濤六段
陶欣然六段ー古霊益五段
辜梓豪五段ー范胤六段

注目すべき棋士は19歳の辜梓豪五段とCCTV杯で優勝を果たした張濤六段だ。
辜梓豪五段は三星火災杯ベスト4入りをするなど、柯潔九段に次ぐ逸材と見て良いだろう。
張濤六段もCCTV杯を制したのを皮切りに実力が開花しているようだ。
両者がどこまで上り詰めるか、注目していきたいところ。
さて、対局を振り返っていきます。


【李欽誠九段(黒)vs江維傑九段:4コウ無勝負】
白1と抜いた時、A~Dの4コウが発生したことにより無勝負となりました。
当日に打ち直しが行われ、李欽誠九段が3/4子勝ち(1目半)して16強戦に駒を進めた。
結果、4コウ無勝負。



【楊鼎新五段(黒)vs辜梓豪五段:飛躍した手法】
黒1から5はアルファ碁の手法で流行している形の一つ。
白Aと下辺に構える実戦例が多い中、白6と右下の黒に働きかける手を選択します。
黒の受け方を見て、下辺の構え方を変える高等戦術です。


黒7は封鎖を嫌う手ですが、白8と下辺を守る調子を与えるので一長一短。
黒9、11と右下の白に迫られた時、白は右下を整形する手段を用意していました。


白12、14と▲を分断するのが好手。
黒15から17と右下と下辺を固められても、白18と▲を飲み込みながら収まれたのが大きい。
黒が得たものも小さくはないですが、見た目以上に厚い形を白に許したため黒不満です。


黒19、21を決めてから黒23と左下の白に迫るも、白24がうまい手で黒出遅れます。
続いて、黒Aと脱出するのは白Bと左下を補強しながら左辺に白石を残して白成功です。


黒25と地を稼ぎつつ、白の根拠を脅かすのが当然の一手。
ただ、白26から30と冷静に受けられると、全局的に白厚い碁形となり白十分な戦果でしょう。
黒の攻めが相当利きづらい形に導かれてしまったのが、黒苦戦原因かもしれません。
結果、白中押し勝ち。


【参考図:効率良い白地】
黒1と下辺の発展性を制限するのも一策。
白2、4と素直に受けるなら、黒5から押さえ込んでいきます。


白8、10に黒11、13の出切りを利かして外回りを厚くするのが黒の意図。
白20まで、下辺を押さえ込めても、効率良い白地を与えたため黒イマイチな結果です。
△の配石により、A~Cの手が残っており右辺に大きな黒地が見込めないのも痛いところ。



【謝赫九段(黒)ー芈昱廷九段:力強い石運び】
黒1の追及に白2と黒3を交換した後、白4とサバキを求めました。
白Aの押さえ込みを見つつ、下辺の白地化を狙われているため黒容易でない局面です。
この手法はアルファ碁が打った戦術の応用で、人間界でも用いられるようになりました。


黒5に白6と切り違うのは当然の態度。
黒7から11は外回りを厚くし、△を大きく飲み込んで右辺に模様を築く構想です。


白14、16は黒の厚みを節をつける工夫。
黒17は右下隅を補強しつつ、Aのシボリを見た効果的な守り方です。
白18と下辺を収めながら白地を築けたので、白も相当な戦果と言えます。


黒19、21を利かし、黒23から27と右辺に黒模様を築いていい加減なワカレに見えます。
しかし、芈昱廷九段は右辺の黒陣の僅かな隙を見逃さず、深く踏み込んでいきます。


白28、30が鋭い踏み込みでした。
黒31に白32の切りが急所で、既に白はサバキ形を築いています。


黒33と種石を助けますが、白34から38と整形されて右辺の白が捕まりません。
続いて、黒Aと封鎖を狙うのは白B、黒C、白Dと出切りで包囲網を突破されます。
(参考図2を参照ください)


黒39と下辺を補強しなければならないのが黒の泣き所。
白40から44と効果的に右辺の白を整形できたのが大きく、早くも白優勢となった。
見た目以上に右辺の味は悪かったようで、黒27は堅く打つべきだったかもしれません。
結果、白中押し勝ち。


【参考図1:サバキ筋に入る】
黒2は白3と押さえ込まれて、サバキ筋に入ってしまいます。
黒4の切りに白5が筋の良い好手で、下辺の白を追及するのが難しい格好です。


黒6には白7から11と裂かれて黒窮しています。
白13まで、下辺の黒が痛んでいるだけでなく、AやBの味があり白満足なワカレです。


【参考図2:封鎖は成立しない】
黒1と封鎖したいところだが、白2から4の出切りでうまくいかない。
黒5、7に白8の切りが強手で黒ツブレです。

「編集後記」
最近打ち出された戦術が数多く用いられていました。
中国棋士の打ち方が世界の流行形であるような感じにも思えてきますね。

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